「生命保険照会制度」について

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生命保険照会制度とは

私たちの事務所でも相続財産の調査を依頼されることがあります。

相続財産によって、さまざまな調査方法がありますが、今回は「生命保険契約」の調べ方についてご説明します。

父親や母親などのご家族が、どこの会社の生命保険に加入しているのか、わからないというケースがあります。近年は、一人住まいのまま亡くなったり、デジタル証券をお持ちだったり、一緒に住んでいても認知症を患ったりして、家族も生命保険契約の存在を把握していないケースが増えています

生命保険の保険金は受取人が請求しなければ受け取れません。契約者が家族に保険の加入状況を伝えていない場合、家族がどの保険会社へどういった請求をすればよいのか分からなかったり、請求そのものができなかったりします。

そこで、生命保険契約の手がかりがなくて困ったときのために、親族等が申し出れば、一般社団法人 生命保険協会を通じて、生命保険会社42社へ保険契約の有無を一括で照会できる「生命保険契約照会制度」が令和3年(2021年)7月から始まりました。

どんな場合に利用できるの??

  1. 死亡したとき
    • 照会対象者が病気などで亡くなり、生命保険契約の存在が分からない場合は、法定相続人や遺言執行人などが保険加入状況を照会できます。申請の際は、照会者の本人確認書類や相続関係を証明する戸籍などが必要となります。
  2. 認知判断能力が低下した
    • 照会対象者の認知判断能力が認知症等により低下し、生命保険契約の存在が分からない場合も、法定代理人や任意代理人、3親等内の親族などが保険加入状況を照会できます。申請の際は、照会者の本人確認書類のほか協会指定の診断書などが必要となります。
  3. 災害で死亡または行方不明となった
    • 災害救助法が適用された地域で被災し、家屋等の流失または焼失等により生命保険契約に関する請求が難しい場合、死亡または行方不明となった方の配偶者、親、子、兄弟姉妹が保険加入状況を電話で照会することができます。

利用料金について

照会の費用は1件につき3,000円(税込)で、申請方法はオンラインまたは郵送です。なお、災害時は、費用は無料で、申請は電話で行うことができるようです。司法書士等の代理人に相続手続きの一環として開示請求を依頼することもできますが、この場合は手続き依頼費用が別途かかります。

生命保険契約の有無開示までの流れ

申請後、利用料金の支払いが確認できた時からおよそ2週間程度で、生命保険会社ごとの生命保険契約の有無が開示されます。ただし、「契約の有無」が開示されるだけなので、詳細な保険契約の内容は、各保険会社へ個別に確認する必要があります。そして、契約があった場合は、保険会社のコールセンター等へ問い合わせ、保険金を請求する手続きを行うことになります。

なお、財形保険契約、財形年金保険契約、支払いが開始した年金保険契約や保険金が据え置きになっている保険契約は照会の対象になりません。

生命保険契約は請求しなければ、保険金の受取りをすることはできませんので、万が一の時に備えた保険が請求できないままになってしまわないよう、あらかじめ保険契約の有無を家族間で話し合って情報共有しておくことが大事です。

参考ウェブサイト: 「家族の生命保険契約を一括照会!どこの会社に加入しているか調べられます」 . 政府広報オンライン . https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202111/2.html

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この記事を書いた人

山添健志のアバター 山添健志 佐井司法書士法人副所長

立命館大学 法学部卒業後 2013年司法書士登録(大阪司法書士会)

中小企業診断士の資格も保有し経営と企業法務の専門性で様々な企業のサポートをしています。

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