目次新しい取組み 大阪家庭裁判所では、令和4年2月から親族(専門職以外の第三者)が後見人に選任されることを希望した場合、一定の例外を除き、親族を後見人に選任すると共に、専門職を「総合支援型後見監督人」として選任する運用が開始されました。これは、後見監督人が、親族後見人に成年後見制度や後見人としての事務の進め方について積極的にアドバイスし、安心して適正な後見業務を行ってもらうことを目的とした取組みです。 親族後見人の重い責任 後見人は、法律に基づいて家庭裁判所に選任され、裁判所の監督のもとに他人の財産を管理する権限を有する人です。後見人に選任された親族を親族後見人と言っていますが、後見人が親族と専門職に2分されているわけではなく、親族後見人といえども、法律上後見人の責務が軽減されるという建付けにはなっていません。親族の中には、親の財産と自分の財産の区別があいまいであったり、近しい存在であるだけに、親の気持ちを聞き入れて暮らしを支援するという役目があることに理解が及ばない場合もあり、後見人という公の立場に求められている責任や義務に違和感をもったり、ストレスを感じる方もいると思います。 親族後見人の業務 後見人は、業務として福祉サービスなどを利用しつつ親の暮らしを整えていくと同時に適正に財産管理をし、家庭裁判所に対しては、後見人として1年に1度定期的に業務の報告をしなければなりません。後見人としては、一人では慣れないこと、初めてのことを間違いなく適切に行おうと思うと、様々な悩みやちょっとした疑問が生じることと思います。 「総合支援型後見監督人」の業務 親族後見人が選任されると、総合支援型後見監督人から、最初に何に留意しなければならないか、特に主な減免制度等の利用や年金、手当について、やるべきことを具体的にアドバイスを受けます。福祉はこちらから働きかけないと受給できないため、利用者側としては知っていることがとても大事です。 具体的には、総合支援型後見監督人は、「1200万円を超える流動資産を保有している本人」を対象として、親族後見人に対して、以下の業務を行います。 およそ9ヶ月の期間限定で 親族後見人の相談相手として 身上監護面に関する潜在的な課題を発見し 各種福祉サービス利用のアドバイスをし 裁判所への報告書の作成が一人でできるようになるために導き 親族後見人と共に後見業務全般を軌道にのせ 財産管理の方法としては後見制度支援信託や支援預金の利用を開始します 任務を終えた監督人は辞任をし、以後、親族後見人が単独で業務を行います。 最後に… 私どもでは、親族に後見人のなり手がいない方や、第三者が担当することを親族が希望される場合、親亡き後を心配される方などには、「担当者の顔の見える大きさの事務所」として専門職後見人をお引き受けしていますが、親族自身が後見人となることを希望されている場合の相談や申立のサポートも行っております。どうぞ、お気軽にお問い合わせください。 成年後見 この情報を他の人に伝える URLをコピーする URLをコピーしました! 「生命保険照会制度」について 忘れると大変な相続登記…具体的な期限の確認方法とは? この記事を書いた人 佐井惠子 佐井司法書士法人 代表 関西大学 法学部卒業後 1981年司法書士登録(大阪司法書士会) 三人に一人が高齢者となる社会を目前にして、個人は、そして法人の99.7%を占める中小企業は、どのように明るい未来を描いていけばいいのでしょうか。社会の大きな変化が、法律の世界においてもパラダイムシフトを生じさせています。 司法書士の役割は、人や法人の幸福な未来作りをサポートすること。 そのためにも、しっかりとよく聞く姿勢と、日々の研鑽をお約束して、皆さまからのお問い合わせをお待ちしています。 関連記事 任意後見契約と生活設計 相続財産承継業務 こんな時に 取締役決定書とは? 相続するか放棄をするか悩んでいる方へ 2019年:CSR活動報告 唯一の取締役が死亡した場合の株主総会 不動産登記に会社の印鑑証明書が不要に ハンコ文化の見直しは必要か??