遺産分割協議 後日発見した遺産の帰属先

こんにちは、司法書士佐井惠子です。
遺産分割協議書の最後に、
「本協議書に記載なく後日判明した遺産及び債務は、相続人甲が全て相続、承継するものとする。」
この条項を入れておくかどうかは、ケースバイケース、考えどころです。

この一文がなければ、例えば、銀行に、もう一つ、思わぬ預金があった場合、
預金残高の多少に関わらず、改めて、遺産分割協議書を作成することになります。
課税されていない不動産が見つかった。
相続人も気がつかない、課税されていない位の不動産ですが、
この場合にも、改めて、遺産分割協議書を作成することになります。
面倒ですね。

こういった面倒を、この一文があれば、改めて遺産分割協議書を作ることなく、
相続人甲が相続することができるので、とても便利ではありますが、
後から出てきた財産によっては、
相続人が、遺産分割協議において合意した前提を、覆す恐れもあります。

父が死亡して、母と子どもが相続人というケースで、全て、母が相続する。
そんな場合には、
「遺産分割協議書には、財産を列挙しますが、全部お母様が相続するということですね。
後から、何か出てきても、そういうことで宜しいですね。」と、確かめた上で、
この一文を入れるようにしています。

相続人が、ご兄弟の場合や、財産を各人が相続するといった場合には、
もう少し踏み込んで説明をした上で、この一文を入れるかどうかの判断を待つようにしています。
本当は、当事者が多ければ多いほど、あると便利なのですが。

(この一文、当事者では有効であっても、金融機関によっては、相続手続きに応じて貰えない可能性もあります。
その点は、ご注意下さい。)

笑顔の和が広がりますように。

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この記事を書いた人

佐井惠子のアバター 佐井惠子 佐井司法書士法人 代表

関西大学 法学部卒業後 1981年司法書士登録(大阪司法書士会)

三人に一人が高齢者となる社会を目前にして、個人は、そして法人の99.7%を占める中小企業は、どのように明るい未来を描いていけばいいのでしょうか。社会の大きな変化が、法律の世界においてもパラダイムシフトを生じさせています。
司法書士の役割は、人や法人の幸福な未来作りをサポートすること。
そのためにも、しっかりとよく聞く姿勢と、日々の研鑽をお約束して、皆さまからのお問い合わせをお待ちしています。

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