令和6年4月1日から始まった相続登記の義務化について記事にいたします。相続登記の義務化による反響は大きく、当事務所にも多くの相談が寄せられております。 自分は相続登記をしたと思っていても、うっかり相続登記を漏らしていることがあります。中でも「私道」をお持ちの場合は注意が必要です。 土地には「地目」と言って、土地の種類が登記されています。私道のうち「公衆用道路」という地目は、読んで字のまま公衆の方が通行する道路として使用されている土地のことを言います。その利用目的から、その土地の所有者には「固定資産税」は課されません。 そのため、毎年4月~5月に届く、固定資産税の通知書にも私道の存在自体が記載がないため、家の前の道路を所有していることを忘れられている方がおられます。 たまに、「私道につき通り抜け禁止」「私道」といった看板をみかけることがあります。このような土地は固定資産税が課税されておらず、周りの土地所有者が共有しているケースが多いです。 実際は、看板を設置していないケースがほとんどで、皆様、相続が発生した場合は固定資産税の納税通知書をもって相談に来られますので、そもそも私道の存在がないこと前提で相続登記手続きを進めてしまっている方も一定数おられます。 結果として、家の前の道路は名義変更ができておらず、不動産を売却する際に私道の存在に気づいて急いで相続人の協力を得て相続登記手続きを行うことも少なからずあります。 所有している私道を調査するためには、主に次の3つの方法があります。 ①先代が土地を購入した時の権利書を見てみる ②市役所で名寄帳を取得してみる ③家の前の道路登記簿を取得してみる ①についてですが、購入時は、前面道路の状態を確認したう上で購入することが通常ですので、不動産購入時の権利書を見て「公衆用道路」の記載があれば所有していると考えて間違いありません。 ②について、名寄帳は、不動産所在地の市町村で管理されているもので、名前で所有している不動産の一覧を確認できますので、先代の名前で検索すれば、登記漏れのある不動産の所有状況を確認できることが多いです。ただし、市町村によっては、非課税の私道を記載してくれない役所もあり確認には注意が必要となります。 ③について、法務局で取得できる公図から家の前の地番を確認し、登記簿を取得します。私道であれば周辺所有者の共有名義になっているはずです。 これ以外にも、近所の人に聞いてみるという方法もあります。 近所の方は私道であることを認識されていて相続登記をしたという話が出るかもしれません。 今回相続登記の義務化が始まりましたが、うっかりした登記漏れで過料を課されることは不本意なことでしょう。この機会に、将来財産を処分する際にも私道の名義変更は絶対に必要となりますので、登記漏れがないか再度確認いただければと思います。 私道と聞いた記憶がある方、不安な方は、当事務所でも名寄帳の取得~登記簿の取得まで確認のお手伝いしますので、お気軽にご相談ください。 (山添健志) 相続 相続登記 相続登記の義務化 この情報を他の人に伝える URLをコピーする URLをコピーしました! 取締役会を設置する 選択のポイントとは? 代表取締役の住所は非表示にできます! この記事を書いた人 山添健志 佐井司法書士法人副所長 立命館大学 法学部卒業後 2013年司法書士登録(大阪司法書士会) 中小企業診断士の資格も保有し経営と企業法務の専門性で様々な企業のサポートをしています。 関連記事 任意後見契約と生活設計 相続財産承継業務 こんな時に 取締役決定書とは? 相続するか放棄をするか悩んでいる方へ 2019年:CSR活動報告 唯一の取締役が死亡した場合の株主総会 不動産登記に会社の印鑑証明書が不要に ハンコ文化の見直しは必要か??