社名変更する場合のポイントとは

会社の名前いわゆる社名のことを法律では「商号」と呼びます。

今回は、この商号を変更するための法律手続きを具体的や注意すべきポイントを中心にご紹介します。

目次

調査して商号を決定する

まずは、同じ商号の会社や類似した商号の会社がないかどうかを調査します。

調査には、法務省の「登記・供託オンライン申請システム https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/」の利用が便利です。トップページの「商号調査」のボタンから、同じ社名の会社がないか、似た社名の会社がないか簡単に検索できます。

商号について商標登録がされている場合、後々トラブルに発展することがありますので、決定する商号について、商標登録がないかどうかも念のため調査します。

こちらは「特許情報プラットフォーム https://www.j-platpat.inpit.go.jp/」より、トップページに候補の商号を入れることで、簡単に商標の登録がないかどうかを確認できます。

株主総会で承認をもらう

決定した商号を正式に変更するためには、株主からの承認を得る必要があります。

株主からの承認は「株主総会」の場でもらうことになります。

この株主総会は、原則、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上の多数をもって可決します。

効力発生日を株主総会の開催日より先の日付にする場合は、商号変更の効力発生日をいつにするかも併せて承認を得ます。

効力発生日に登記手続きを行う

効力発生日が到来したら、2週間以内に商号の変更登記をしなければなりません。この期限を過ぎると過料が裁判所から通知されることがあるので注意が必要です。

登記申請の際には、添付書類として株主総会議事録などを添えて、管轄の登記所に申請します。

商号に関して注意すべきトラブルは?

一昔前は「類似商号制度」がありましたが、現在では廃止されています。

以前は、同じ市区町村内に一部でも同じ事業目的を持つ同一または類似商号の会社は設立できませんでしたので、商号の決定にはとても時間を要するものでした。

2006年に会社法が施行され現在では、同じ市区町村内でも、本店の所在地が違えば、同一または類似商号の会社を設立することができ、商号に関する審査の手間がなくなり手続きが簡素化されたと言えます。

手続きが簡素化された反面、社名変更を発表した有名な会社の商号をまねして先に同一所在地に登記をしてしまうことも可能となってしまいました。先に登記をされるようなことがあると予定日に商号変更の登記をしようとしていた会社は困ってしまいます。

上記のような動機でも登記手続き自体はできてしまうのですが、このような不正な目的をもった商号の利用は法律が規制しています。

また、不正な目的はなく過失で商号を選んでしまった場合でも商号などの差し止めや、損害賠償を請求される可能性はありますので、商号の調査を怠らず十分に注意をする必要があるでしょう。

会社法 第8条(商号の不正利用の禁止)

何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。

2 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

不正競争防止法 第4条(損害賠償)

故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。

この情報を他の人に伝える

この記事を書いた人

山添健志のアバター 山添健志 佐井司法書士法人副所長

立命館大学 法学部卒業後 2013年司法書士登録(大阪司法書士会)

中小企業診断士の資格も保有し経営と企業法務の専門性で様々な企業のサポートをしています。

目次