よくある質問

遺言・相続に関する質問

 お墓は遺産分割の対象となりますか?

お墓の承継には、遺産相続とは別のルールがあります。墓地、系譜、祭具などを祭祀財産(さいしざいさん)と、いいます。これらは、祖先の祭祀を主宰する人が承継しますが、その決定のルールは、以下の通りです。

  1. 被相続人の指定による。方法に制限はありません。生前でも、遺言でもいいですし、書面・口頭、明示・黙示を問いません。第二に、指定がなければ、慣習に従います。この慣習の意味は、旧民法の家制度とかでなく、戦後の慣習ということです。
  2. 第三に、慣習が明らかでなければ、家庭裁判所が定めます。ここに至ると、承継人と祖先の関係というより、被相続人との関係を重視することになります。生計を一にしていたとか、身分関係が近いとか、被相続人に対して思慕の念を持ち、末永く祭祀を主宰するに相応しい人として定めた判例があります。
  3. 第三の方法によるよりは、関係当事者の話し合いで、納得して承継人になるというのがいいと思うのですが、下級審判例はゆれています。墓地自体に財産的価値がある場合もあるでしょうが、一方で、利用料など高額な維持費を負担したり、檀那寺から寄付を求められたりと、負担も大きいといったケースもあります。祭祀承継人は、相続のように放棄も辞退もできません。遺言で、ご本人が指定しておく方法もあります。
 相続登記申請に、戸籍や印鑑証明書の有効期限はありますか?また、遺産分割協議後、すぐに相続登記をしなかった場合も、当時の印鑑証明書は使えますか?

相続登記手続きでは、戸籍・印鑑証明書それから住民票も有効期限はありません。遺産分割協議後、すぐに相続登記をしなかった場合も、当時の戸籍・住民票・印鑑証明書を使って登記申請をすることができます。

さらに、遺産分割協議書はあるけれど、相続登記をしないうちに、相続人にも相続が発生してしまった。そんな登記の依頼を受けることがあります。当時の印鑑証明書を、遺産分割協議書と一緒に保管しておいて下されば、何年前のものであっても相続登記は可能です。

但し、相続人の戸籍は、被相続人死亡の日以前のものは使えません。相続による銀行の預金解約手続きには、3か月以内の印鑑証明書を求められることがあります。提出先により様々ですので、登記以外のケースでは、事前にご確認いただく必要があります。

 遺言で息子に相続させるとしていた父子が、事故で双方共に死亡した場合の遺言の効力は?

数人の死亡者のうち、誰が先に死亡したか明らかでない場合、同時死亡したものと推定します。同時死亡者相互の間には相続関係は生じません。

 遺言で息子に相続させるとしていたところ、父より先に息子が死亡した場合、遺言の効力は?

遺言の効力は生じません。『孫』が代襲相続人として遺産分割協議をする必要があります。

 意思能力のない相続人が加わった遺産分割協議は無効となりますか?

遺産分割協議をするときに、実は意思能力のない共同相続人がひとりいるにも関わらず、相続手続きが終わったとしても、この遺産分割は、いつになっても、誰からも無効を主張される危険があります。

 相続放棄と相続分の譲渡あるいは相続分の放棄との違いは何ですか?

相続放棄は、自分が相続人となったことを知ってから、3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりませんが、相続分の譲渡や相続分の放棄なら、遺産分割前であればいつまででも可能です。但し、債務は当然には免れることができません。ここは、相続放棄と異なるところです。

 死亡退職金は相続財産として遺産分割協議の対象になりますか?

労働者が在職中に死亡すると、会社からは死亡退職金の給付を受けます。これは、相続財産には含まれないので、これを受け取るのは法定相続人に限りません。
死亡退職金の受給権者は、公務員等は法令や条例によって、民間企業では、就業規則等で定められている場合が多いです。死亡退職金の場合、遺族の生活保障といった面から、必ずしも民法の相続人の範囲、順番と一致していない場合が多いようです。

例えば、配偶者、内縁の配偶者がいる場合は、子は受け取らないとか、孫がいても父母を優先するとか、夫婦間の子と婚外子とを平等に扱うとか・・・。生活保障の側面を重視しています。
死亡保険金と死亡退職金は似ているものの、死亡保険金の受取人は、遺言で変更することができますが、死亡退職金は、受給権者を遺言で変更できないところが、違うところです。

会社を経営する方は、予め役員退職金支給規定を作っておけば、遺言の変わりにすることもできるのではないでしょうか。

 親に虐待をする子供に、相続を認めない方法はありますか?

推定相続人が、被相続人に虐待をしてきたり、重大な侮辱を与えたり、または推定相続人自身に、著しい非行があったとき、本人に限り、廃除の請求をすることができます。具体的には、高齢者に対する身体的虐待、監護懈怠、性的虐待、そして年金を取り上げるなどの経済的虐待も対象となりますし、配偶者に対しては、ドメスティックバイオレンス 暴力行為も対象となります。家庭裁判所が、後見的立場で、客観的基準で、廃除の請求が正当であるかどうかを判断しますが、廃除が認容される件数は多くありません。認められた場合は、相続人から廃除されて、「遺留分」も剥奪されるという強力な効果があります。

客観的な資料を揃えておく必要があります。遺言による場合は、遺言執行者が裁判所に請求して行います。

 相続人間で平等にしたいにも関わらず、遺産に占める不動産の割合が大きい場合、遺産分割協議や遺言の方法はありますか?

遺産の中で不動産の占める割合が大きくて分けにくい場合に、相続人固有の財産から代償を支払う「代償分割」や、処分して支払う「換価分割」という分け方があります。遺言においても、「負担付き遺贈」や「処分型遺贈」という方法で、分けにくい遺産について遺言をする方法があります。

 再婚相手の連れ子は相続できませんか?

年月をかけて親子関係を築き、子どもさんは、最後には介護も担い・・・。今更と思われるでしょうが、配偶者の連れ子と養子縁組をしていなければ、その子どもさんは、親の再婚相手の相続に際しては、何の権利もありません。特別縁故者の可能性はあります。

連れ子と養子縁組をしていれば、養子も実子も、相続分は均等となります。両者の間に、差はなく、遺留分も認められます。実の親との親子関係がなくなるわけではありません。

養子以外の方法としては、遺贈という選択肢もあります。相続人以外に、財産を遺言で遺す方法です。

 遺産分割協議さえ整えば、不動産の相続登記は急がなくてもいいですか?

相続法の改正により、遺産分割で不動産を相続することになっても、法定相続分を超える部分については、相続登記をしておかないと第三者に対抗できないため、できるだけ速やかに登記をする必要があります。

AさんとBさんが、Aさんに相続させる内容の遺産分割をしていても、Aさんが、自分に相続登記をしていないと、突然第三者が現れて、勝手にAさんとBさんの法定相続分に従った相続登記をした上で、Bさんの共有持分に仮差押されるという事態に陥ることがあります。Aさんは第三者に法定相続分を超えた部分については主張できなくなります。

 遺言書の作成のために公証人は出張してくれますか?

病院でも、ご自宅でも出張してもらえます。遺言者は日本中どこの公証役場でも公正証書遺言を作成できますが、公証人に出張してもらって遺言を作成するには、管轄というものがあります。大阪府下に出張であれば、大阪法務局管内の公証役場の公証人、兵庫県下に出張であれば、神戸地方法務局管内の公証役場の公証人である必要があります。

 長男に「相続させる」旨の遺言は、その長男が遺言者の死亡以前に死亡した場合、有効ですか?

長男に「相続させる」旨の遺言は、その長男が遺言者の死亡以前に死亡した場合には、遺言者が長男の子に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、遺言の効力は生じず、遺言がないものとして推定相続人間で遺産分割をすることになります。

長男が既に亡くなっていたときには長男の子に相続させたいと考えているなら、そのような遺言(予備的遺言)を遺す必要があります。

 遺言と死因贈与の違いは何ですか?

自分が亡くなったときに効力が生じる始期付き契約のひとつに、死因贈与契約があります。契約であるところが、遺言者の単独行為である遺贈とは違うところです。不動産を死因贈与してもらう場合に、始期付き所有権移転仮登記(始期 ○○の死亡)をしておくことは有効です。確実に財産を受け取ることができます。

私文書でもいいのですが、できれば、効力発生の段階になったときを考えて、公正証書で執行者を指定しておきたいところです。そうでなければ、相続人全員の協力が必要となります。

 夫婦一緒に遺言はできますか?

夫婦互いに一つの遺言をすると無効となってしまいます。そういったご相談には、夫婦別々に「遺産は配偶者に」という遺言をすることをお薦めしています。

 包括遺贈の場合の注意点は何ですか?

遺贈には、贈る目的物がはっきりとしている特定遺贈とは別に、全財産に対して、割合をもって表す包括遺贈があります。

包括遺贈とは、「この不動産を○○に遺贈する。」という遺贈ではなく、「全財産を△△に遺贈する。」や、「全財産の2分の1を□□に遺贈する。」というものです。包括受贈者は、相続人と同一の権利義務を有します。つまり、プラスの財産もマイナスの財産も引継ぐことになりますので、相続人に混じって遺産分割協議に参加することになりますし、借金も、遺贈で受けた割合で承継してしまうのです。

 包括遺贈をされましたが、どうやら借金が沢山あるようです。辞退できますか?

相続放棄と同じ手続きで、包括遺贈の放棄ができます。
自分が包括受贈者になったと知ったときから3ヶ月以内に限りですが、家庭裁判所に放棄の申述をしてします。この期間を過ぎますと、包括遺贈を承認したとみなされますのでご注意下さい。なお、特定遺贈では債務を引継ぎません。

 臓器提供の意思表示を遺言ですることはできますか?

平成22年10月から、運転免許証の裏に、臓器提供の意思表示欄ができました。もちろん、これ以外にも、臓器提供の意思表示をする方法はあります。ただ、遺言にその旨書いたとしても、自筆証書遺言の場合は、開封すらされないので、役にたちません。

 公正証書遺言を役場で保管してもらえる期間は?

公正証書は原本を役場に20年保管するのが原則です。但し、遺言も公正証書ではありますが、20年では役に立たないということで、一応、100歳までという基準がありますが、100歳を超える高齢者もいらっしゃいます。事実上、遺言は作成順に綴りこんであるので、生年月日を見て、150歳となっておられるとしても、綴りから抜き出すことはできないので、実際には、ずっと保管してもらっているということです。つまり、遺言書を紛失しても破っても、公証役場に原本はあるので、執行可能となります。

 遺言執行者の辞任・解任について教えて下さい。

遺言執行者にいったん就任すると、簡単には辞任できません。遺言書で指定していたとしても、就任前であれば辞退することはできます。代わりの執行者は、家庭裁判所が選任してくれますので、心配無用です。ところが、いったん遺言執行者に就任すると、勝手にはやめられません。その場合、「正当な事由」が必要で、その有無は家庭裁判所が判断します。「正当な事由」とは、長期の病気や出張、多忙な職務などです。

遺言執行者が辞任してくれないときは、利害関係人から家庭裁判所に対して、解任する審判を求めます。解任は、「任務の執行を怠ったとき」「その他正当な事由があるとき」と、裁判所が判断したときに認められます。例えば、全く何の仕事もしないとき、あるいは一部の行為しかしないとき。また、長期の病気や不在、相続人の一人に有利な取扱いをする等といった場合。

相続手続は、ともかく、時間と手間がかかります。執行者に指定されているのを知った時によく考えて、就任するか辞退するかを考えてください。

 遺言には、遺言執行者を定めておかないといけませんか?

遺言で、遺言執行者を定めることも定めないこともできます。
遺贈では、遺言書で遺言執行者を定めておかないと、すぐに遺言を実現することができません。この場合、共同相続人全員の協力のもと、受贈者に財産を引継ぐか、あるいは、家庭裁判所に遺言執行者を定めてくれるように、申立てをするしかありません。候補者を申立人自ら選ぶことはできますが、必ずしもその人が選任されるとは限りませんし、選任されるまで、時間がかかります。従って、遺贈では遺言執行者を定めておくことが大切です。

遺言執行者の責任は重く、利害関係人の矢面に立つ場合もあり、誰でもいいというわけにはいきません。ただ、内容によっては、遺贈を受けた人「受贈者」自らが、遺言執行者になることもできます。

 遺言執行者が貸金庫を開けるとき、注意することはありますか?

相続人間で紛争の恐れがある場合は、貸金庫の内容物の確認のため、公証人に「事実実験公正証書」の作成を依頼するぐらいに慎重にします。

「事実実験公正証書」は、公証人による五感の作用により直接体験(事実実験)した事実に基づいて作成した公正証書をいいます。これは、証拠を保全する機能を有し、権利に関係のある多種多様な事実を対象とします。公証人は公務員であるため、それは公文書となり、裁判上、格段に高度の証明力を有します。

 公正証書で遺言を作成したはずですが、見つかりません。検索できますか?

公証役場の遺言については、ご本人が遺言書を紛失しても破っても、公証役場に原本はありますので心配ありません。まず、最寄りの公証役場で、検索を請求します。

日本公証人連合会のコンピューターには

  1. 遺言した人の氏名
  2. 証書作成年月日
  3. 作成役場

などが入力されているので、遺言者が死亡したことを証明する戸籍を持っていけば、最寄りの公証役場で遺言書の有無を調べてもらえます。わかれば、作成した役場で 『謄本』の交付を受けることができます。

 3ヶ月を過ぎてしまった場合、放棄することはできない?

自分が相続人となったことを知ったときを起点として3ヶ月以内の申し立てが必要ですが、事情によっては相続放棄が可能なことがありますので、ご事情をお聞かせください。

 3ヶ月で相続財産の調査が終わらないのですが、相続放棄の熟慮期間の延長はできないか?

相続放棄の熟慮期間の延長を家庭裁判所に申し立てることができますので、ご相談ください。

 債務の全容が把握できないが、調べる方法はあるか?

相続人から信用調査会社(銀行協会やCIC、JICC)に調査依頼ができますので、ご相談ください。

 父親の相続を放棄したその後、父親の兄弟が亡くなった。相続の権利はないか?

父親の兄弟の相続について、甥姪にあたる方は相続人となりその権利があります。相続放棄は被相続人ごとに行いますので、借金の支払い義務を引き継がないようにするためには、改めて相続放棄の手続きをする必要があります。

 相続放棄をしたいと思っているが、医療費の支払いはしてもよいのか?

被相続人の財産からは支払えません。お世話になった病院の支払いはしておきたいというお気持ちも分かりますが、この場合、ご自身のお金で支払うしかありません。領収書の宛名は、ご自分の名前にしてもらいましょう。

 相続放棄しても生命保険は受け取れる?

契約者と被保険者が同一人の場合、受け取る死亡保険金は死亡した人の財産ではなく、保険金受取人の固有の財産となります。 ですから、相続を放棄しても死亡保険金は受け取ることができます。

各サービスに関する質問

相続手続まとめて代行サービス

 依頼する際に必要なものはありますか?

初回の持ち物

  1. 被相続人につき死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本
  2. 被相続人につき住民票除票または戸籍除附票
  3. 登記済権利証または登記識別情報通知
  4. 対象不動産の固定資産評価証明書または固定資産税課税明細書
  5. ご相談者(相続人)につき戸籍謄本または抄本(現在のもののみ)
  6. ご相談者(相続人)につき住民票または戸籍附票、印鑑証明書
  7. ご相談者(相続人)の認め印と運転免許証、マイナンバーカードなどの 本人確認書類

1から6については、用意いただけるものをお持ち下さい。
お忙しい方や、遠方で戸籍を用意できない場合には、 代わって請求いたしますので、お申し出ください。

 相続手続きの期間はどのくらいかかりますか?

不動産、有価証券の有無、預貯金口座の数によって異なりますので一概に言えませんが、一般的には4か月~10か月程度かかることが多いです。

 相続人が遠方にいる場合でも代理で手続きができますか?

大丈夫です。
遠方で直接面談ができない場合は、印鑑証明書、実印等で本人確認を行い、お電話等でご依頼の意思確認をさせていただきますのでご協力ください。

法定相続情報証明手続き代行サービス

 依頼する際に必要なものはありますか?

ご依頼にあたっては認印と本人確認書類をご用意いただきます。もし、ご自身で取得された戸籍、住民票等があればご用意ください。

 相続関係が複雑でも定額報酬なのですか?

定額報酬です。

なお、数代にわたって相続が発生している場合は、被相続人ごとに法定相続情報一覧図が作成されるため、この場合は定額報酬が被相続人ごとにかかります。

 料金はいつ支払えば良いですか?

法定相続情報一覧図が完成しお渡しの際にお支払いをいただきます。

相続放棄サポートサービス

 依頼する際に必要なものはありますか?

被相続人の本籍地がわかる資料(死亡届、戸籍謄本など)、借金の詳細がわかる資料をお持ちください。

 相続放棄の手続きの期間はどのくらいかかりますか?

聞き取り~資料収集~申立~相続放棄の受理までで2,3ヶ月かかります。
相談いただいた時期によりますが、可能な限り相続放棄の申述期限内に申立ができるよう対応いたします。

 料金はいつ支払えば良いですか?

相続放棄の手続き完了後にお支払いいただきます。

遺言書作成サポートサービス

 依頼する際に必要なものはありますか?

遺言書に記載したい財産がわかる資料やメモがあればお持ちください。不動産がある場合は、固定資産税の課税明細書をお持ちください。

 作成に要する期間はどのくらいですか?

相談内容にもよりますが、概ね1ヶ月程度です。

 入院中のため事務所や公証役場まで行けませんが、依頼はできますか?

ご要望に応じて出張して相談の対応をさせていただきます。公正証書遺言を利用する場合、公証人にも出張を依頼することができます。

 料金はいつ支払えば良いですか?

遺言書完成のタイミングでお支払いをお願いしております。